次に向かう島の気候は些か寒いらしく、乗組員一同は普段よりも少しだけ厚着をしていた。
既に気候は冬島のものになっている。寒々しい風が頬を撫でた。
尤も麦藁ひとりは何時もと変わらねェ服を着てやがったが。馬鹿丸出しじゃねェかよ。暖かなファーコートに包まれた俺は
無能な船長とはしゃぎ回る長っ鼻とたぬきと骸骨を嘲笑うように鼻で笑うと葉巻の煙を吐き出し、ふと周りを見渡してみた。
剣士は相も変わらず鼾をかいてぐっすりと眠っているし、航海士とニコ・ロビンは船室で阿呆コックの作った
ケーキを食べている。変態船大工は恐らくまた何か作っているのだろう。耳を澄ませば
金槌の音が聞こえてくる。一人足りない。先程までウロチョロしていたはずの猫がいない事に気付いた。
女二人と一緒にケーキでも食べているのだろうかとも思ったが奴はアイツらよりも先に
自分の分を食っていたことを思い出した。しかし何故俺はあの猫娘のことを考えているのだろうかと
ぼんやり考えたが直ぐにどうでもいい事だと思って深く息を吐いた。
全く白む息は気温のせいなのか葉巻のせいなのか分かりゃしねェ。
俺も静かな部屋に切り上げようと踵を返した刹那、胸に飛び込んできた黒い影。
反射的に受け止めてしまったせいで奴はもぞもぞとコートの中に潜り込んでくる。
この俺で暖を取るなんざぁ、良い度胸してンじゃねェかよ。
盛大に舌打ちをした俺は律儀にも猫を抱えたまま足早に船室へと向かった。

どかりとベッドに腰を下ろせば僅かに軋むスプリング。猫が一瞬身を硬くしたのが分かった。
右手で無理矢理首根っこを掴み、シーツの海に放り込むと弱々しく「にゃう」と鳴いて
小さく丸まった。未だに少し寒いらしい。

「…怒らねェからさっさと元に戻れ」
「・・・。」

猫が人間に変化していく様は何度見ても不思議なものだ。
しかし恐怖なんざまるで感じねェ。こんなものにいちいち驚いてたら海賊やってらんねェだろう。
存外素直に真っ当な姿に戻ったは恨めしそうな顔をしながら俺を見ていた。が、

ゴンッ!
「痛ぁ!!怒んないって言ったのに!」
「殴らないとは言ってねェ」
「せこい!サー、せこい!」
「(ブチッ)」
「に゛ゃああ!!」

女の脳天目掛けて振り下ろされた右手は見事にヒットしたようで、はデケェ瞳に涙をいっぱいに溜めて
盛大な罵詈雑言を吐き出すのだが生憎俺ァそんなもん気にしねェし、お前を一瞬で黙らせる事だって出来る。
その証拠に今、お前は何も言えねェだろう?
華奢な身体を引き寄せていつもの膝の上に乗せると、さっきまでの威勢の良さは何処へ行っちまったのか
「う、わ」とか何とか意味の分からねェ事を言って固まっちまう。耳まで真っ赤だ。
そんな反応に気を良くした俺はを後ろから抱き締めて、その赤い耳元で笑った。

「ククク…クハハ…!」
「なっ、何すんの…!」
「随分と無粋な事を聞くじゃねェか。分かってる癖に」
「さ、最低…!!」
「何とでも言え、クハハ…!」

珍しく積極的な俺に動揺を隠せないは腕の中で必死に藻掻いている。
全くやることはやっているくせに妙なところで初心なんだから不思議だ。
どうしてこの女は自分から擦り寄ってくる癖に、俺が近づくと逃げようとするのか。
ぼんやり考えながら白い首筋に舌を這わせた。


(おーい!もうすぐ上陸だぞー!)
(チッ…(空気読めよ阿呆船長が!))
(た、助かった…!)



ウチのにゃんこ嬢は自分のペースを崩されると弱いのです^^
もっとピンクい感じにしようか迷ったけど自重しますた。←
もう鰐猫をプッシュします、私…!