「…オイ」
「……。」
「テメェどこで寝てんのか分かってんのか、この猫娘」
「……。」
「…!」

目下にいる一匹の猫は僅かに頭を上げるとゆっくりと大きな金色の瞳だけを俺に向ける。
しかしそのあと直ぐに再びコテンと寝転がり気持ちよさそうに小さな寝息を立てはじめた。
明らかに無視しやがったコイツ…!
この黒い猫は少し目を離した隙に部屋に侵入し、あろうことかこの俺のコートの上ですやすやと惰眠を貪っていたのだ。 いくら怒鳴れどその場を離れる気配を一向に見せず、先だけ白い尻尾をまるで挑発するかのようにひらひらと振るう。

「今のうちに退けば許してやる…早く消えろ」
「…にゃふー(…眠ーい)」
「この…ッ!」

動物系の能力者であるはこの姿のまま話をすることも出来る。
それでも猫の声で鳴くとは何処までも人を馬鹿にしてやがるんだ…ッ!
首根っこを掴んで部屋から放り投げてやろうとした瞬間、恐ろしい速さで飛んでくる猫パンチ。
その手は尻尾と同じく先端だけ白くなっている。靴下を履いているようだと思う。
痛くも痒くも無いが、まさか猫に攻撃されるとは思ってもいなかった為に一撃はバシッと見事にヒットする。
ピキッと青筋が立つのが分かった。この女、許さん。
だが人間の姿をしていれば心行くまで叩きのめすことも出来ようが目の前にいるのは猫。
こんな小さな反逆者一匹に元王下七武海のこの俺は何をしている。
ひ弱な猫パンチに態々スナスナの実の能力を使う必要なんぞ…。
だからと言って安々と寝床を提供するつもりなど毛頭なく、取り合えず俺は猫をコートから引き剥がし
自分の膝の上に乗せることにした。俺の領域に入るなら、俺の玩具になりやがれ。
戯れ程度に喉元を撫でればゴロゴロと声を鳴らし目を細める。
小さな頭を右手に摺り寄せてくる様はなるほど猫そのもの。
今日初めて分かったのだが、コイツは無駄に毛並みが良い。手触りも悪くねェな。
これから暇なときゃコイツで遊ぶのも良いかもしれねェと、ペットを飼ったような気分になって
俺は思わず頬を緩めた。猫は警戒心ゼロといった様子で仰向けになってじゃれついてくる。
乾きを与えるこの右手もコイツにとっちゃオモチャらしい。
最も元の姿である女も俺の右手に恐怖を抱く様子など微塵も見せないのだが。

「にゃー(気持ち良いー)」
「ったく大人しくしてりゃ可愛いものを…」
「にゃあ?(そう?)」
「お前ずっとその格好でいろ」
「…」
「クハハハ…」


(…サーったら案外可愛いもの好きなのね)
(…!?何言ってやがるテメェ…!?)


ロビンは見た。サーが猫と当社比3割増しくらい楽しそうに戯れていたのを。
サーって動物好きそうなイメージが割りとあるんですが
バナナワニとかマメに世話してたんじゃないかな。