「だから私は何も知らないって言ってるじゃない!」

冷たいコンクリートの壁に囲まれた部屋に鋭い声を響かせたのは何を隠そうこの私で、 目の前の赤い髪をしたお兄さんは米神に手を遣りながらもう何度目かも分からないような溜息を吐いた。 溜息を吐きたいのはこっちの方だと言うのに! 私は涙を精一杯堪えながら俯いて安っぽいデスクを睨み付けた。

「だがお嬢さんよぉーコッチにゃあんたに不利な証拠ばっか上がってんだぜぇ?」
「さっきから私が犯人みたいな言い方やめてよね」
「おぉー怖ぇーなぁ」
「私だって怖いわよ」
「…しょーがねぇーなぁー」

ちょっくら休憩しようぜ、と言って怖面のお兄さんはがたりと席を立った。 あの人、顔は怖いけど口調は優しいから運が良かった。もっと怖い人が来たら絶対泣いていた。 ギィと小さな音をたててドアが開き、新鮮な空気が少し入ってくる。 深く息を吸い込んでゆっくりと吐き出すと薄暗い部屋の片隅で座っていた黒い髪を 幾つかに束ねた不思議な髪型の気弱そうなお兄さんが困ったような顔をしてこっちを見つめてきた。 真っ黒な瞳が心配そうに揺れている。心配してくれるなら助けてよ。

「…ねぇ、私これからどうなるの?」
「ッ…知らねぇよ…そりゃアンタ次第だろ」
「誰も私の事信じてくれないじゃない。冤罪になったら呪うから」
「…洒落にならないな」

何故か黒髪のお兄さんは私よりも憔悴したような様子で力無く壁に頭を預けた。 …この人取り調べの度にこんな様子なんだろうか。この仕事向いてないんじゃないの。 こんな状況で自分の心配のみならず他人の心配まで出来るようになった私って 案外順応性の高いタイプなのかもしれない、と場違いな事をぼんやり考えた。

「…大丈夫?辛そうだけど」
「そりゃアンタだろ」
「まぁ、お互い様ね」
「…どうも」


女の様子はどうだ、と取り調べ室を覗いていた同僚に尋ねると「必死に涙を堪えてる表情がディ・モールト・ベネだ」と 的外れにも程がある答えが返ってきたので取り敢えず殴っておいた。変態は嬉しそうな声をあげてスッ飛んでいった。 後ろで手の掛かる後輩が小さく「ひっ」と息を呑む声が聞こえた。いい加減慣れろ、このマンモーニ。 終わりを見せる様子のない取り調べに盛大な舌打ちを漏らすとホルマジオが短い髪をわしゃわしゃと掻き乱しながら部屋から出て来た。

「あのお嬢さん、見た目によらず結構気ィ強いぜぇー。さっきから『何も知らない』の一点張りだ」
「ったく…何やってんだよホルマジオよォー」
「しょーがねぇーだろぉー」
「俺が代わってやろうか。あの子結構タイプだ…」
「黙れ」
「残念、近くで見たかったな」

黙るという単語を知らないかのように喋りまくるメローネと「まぁ見た目は悪くねぇーよなぁー」と悪ノリし始めるホルマジオに 拳を振り上げた直後、聞き慣れた低音が俺の名前を呼んだ。

「…プロシュート」
「アァ?…ようやく俺に任せる気になったかよ」
「…お前は容赦無いからな」
「ハン!」

3分で終わらせる、そう言ってドアノブに手を掛けると背後からペッシの「相手は女の子ですぜ、兄貴ィ」と情けない声。 テメェ取り調べ終ったら説教だぜ、このマンモーニがッ。



「刑事パロを書く」と心の中で思ったならッ!
その時スデに行動は終わっているんだッ!(…)
すみません。しかも続くとか本当にすみません。