藤吉先生の手がさらさらと流れるように綺麗な文字を紡ぎ出しているのを眺めていたら
「真面目に解けよ」と、怒ると言うよりも諭すような口調で
彼は私の思考回路の作動を促してきた。
もう少し眺めていたかったなぁ、なんて思いながら
私は目の前にある憎たらしい化学式どもに向き合う。
よくもまぁこんなに難しい研究を飽きもせずに先人は続けたものだと
心の中でひっそりと感嘆符を放った。
私たちがやっていることは、ただかつての化学者たちが作った線路の上を辿っているに過ぎない。
器用にもそんな事を考えながらもシャーペンを滑らせて一問ずつ処理していく。

「…出来ました」
「よし」
プリントを受け取って採点をする先生。
どんどん黒い文字の上に赤い丸やらバツやら説明やらが書き加えられていく。
そんな採点する姿すらも絵になるんだから、やはり綺麗な人とは得だ。

「悪くはないが…ケアレスミスが目立つな」
少し問題を解くスピードを遅くしてみたらどうだ?と提案する先生。
私の手の中に返ってきた紙切れを見れば確かにつまらない間違えばかりが目立つ。
うわぁ…と小さな悲鳴を零せば、視界の隅っこで先生が笑った。
「冷静になれば、自分で間違いにも気付くぞ」
急いで解く必要なんて今は無いんだから、ゆっくりでいいぞ。

先生の優しいアドバイスには悪いが、私の悪い癖が改善されるのは当分先の話である。
だってこの人は私が急いで問題を解く理由を知らないから。
いつも全部埋まった解答用紙を差し出す度に嬉しそうに笑ってくれる

あなたの笑顔が見たいから

だから頑張ってるんだよ!
(空回りしてるけど!!)

後日
「先生!見てこれ!」
「お、よく頑張ったな」(なでなで)
「えへへ…」


Please look at me!

08.3/31  外山先生と真逆なタイプの藤吉先生です(笑)