この親にして、この子あり。
この言葉、なかなか的を得ているかもしれない。
「パパ、樹里、妹が欲しい!」
ぶはっ。
私は飲んでいた紅茶を盛大に吹き出した。
「お姉ちゃん大丈夫?」
「だ、だいじょ」「そうかー、妹が欲しいのかー」
今度は、蒸せた。
「げほ…っ、げほ、な、なんで」「だってさ、」
「なんで私に話振るんですかー!」
まったく、この親子は似すぎて困る。
2人揃ってクラッシャーなのだ。
特に樹里ちゃんは屈託の無い天使のような愛らしい笑顔で言ってくるので、尚更質が悪い。
…藤吉先生は計算して発言しているので、それもそれで質が悪い。
あのプロポーズ事件以来、ちょくちょく藤吉家にお邪魔するようになった私は
藤吉親子と共に、平和にお茶を啜っていた、はずだった。
…なんとなく、今日は早く帰った方がいいんじゃないかと思う。
「あ、樹里ちゃん。お姉ちゃん熱っぽいから、今日はもう、帰ろうかなー」
「風邪引いちゃったの?」
「うん、だから帰って大人しく寝てるねー」
本当に心配そうに見つめてくる大きな瞳は、まるで子犬のようで
つまらない嘘を吐いてしまった事に罪悪感が湧いてくる。
「待て、。医者ならここにいるぞ?診てやろうか」
にやにやとした笑みを向けてくる藤吉先生の後ろに、まがまがしいオーラが見えたような気がした。
てか子供の前でその笑顔はダメだと思うよ先生。
「わ、私も医者だ!」「ああ、そうだったな」
態とらしい溜め息を吐いた先生は、悔しいけど、絵になるなぁと思った。
(じゃ、この話は保留な)
(だから、なんで、)
(お大事に)(……!)
08.2/20 藤吉家にお邪魔してみました。