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!若干下品なネタなので注意! 「ジャポネって奥手なんだか過激なんだか分かんないよな」 「…はい?」 「、大学でナニ勉強してるのかなー?お兄さんにも教えてよ」 「…!!!」 どうして、数あるプリントの中からそれを探し当てたのか。 フランシスは端正な顔をニヤニヤと厭らしく歪めながら 一枚の紙切れをわざと私に見せ付けるように指先で摘んで ひらひらと動かした。そこまで私たちの距離は離れていないけれど 細かい文字なんてものは、はっきり認識することは出来ない。 だがフランシスのこの顔。これは卑猥なことを考えてるときの顔だ。 そしておそらくコイツが持ってるそれは、大学の講義でやった… 「西鶴か…!!」 「あー、イハラサイカク?お兄さん詳しくは知らないけど 日本の有名な作家でしょ?」 「そうだけど…!ちょっと返して!」 「ふーん、こんな話書いてたんだ」 おそらく彼は西鶴の名前しか知らないだろう。否、知っているだけで凄いと思うけど。 こんな話、というのは所謂好色物というもので。 講義の教材に好色物をチョイスした教授もなかなかだが その講義を選択したのはまさしくこの私で…いやいや、別に 好きで選んだ訳じゃない。必修科目だったんだよ、うん。 (しかしフランシスだってそんなに日本語に精通してる訳でもないだろうに どうしてこの江戸時代の、いわば古文なんか読めたのかしら) 「言っとくけどフランシスが期待してるような話じゃないよ」 「んー…でも俺はすごくこのタイトルに惹かれるけど」 「…!」 固まっている私を見てフランシスは「はシャイだな」なんて言って更に楽しそうに笑った。そりゃ私は 真昼間から猥談に耐えられるような神経してませんもの、アンタやギルベルトさんと違って。 アントーニョさんも結構爽やかな笑顔で際どい事言うもんなぁ。菊が前に 「の前で変な話しないでくださいよ!」なんて少し怒ってたけど。 何故か菊は昔から私に対して少しばかり甘いというか過保護な面がある。 しかし西鶴よ、なぜにそこまでストレートな表現を使ったのですか。題名に。 「『床の責め道具』って明らかにそっち系だよな?」 「…そうですね…」 「すごいよな」 でもよく分かんない、と言って眉を八の字にしたフランシスはプリントを見つめたまま 金色の長い睫毛を数回瞬かせた。その様はなんだかとても神々しくさえ思える。 どうせ頭の中は碌な事考えてないくせに。そんなの詐欺だ。 その証拠に彼は一瞬はっとしたような顔をしてからニコリと微笑んで 「文学少女のちゃん、お兄さんに古典を教えて欲しいな」と気味の悪い猫撫で声を出した。 「この女喜丹ってなに?」 「…っ!」 「あとこの阿蘭陀糸とかりんの玉とか」 「この…ッ!」 「あ、これは?」 「…シス…なん、か…」 「え?…ちゃん?」 「フランシスなんか腎虚で死ねばいいんだー!」 丁度近くを通りかかった菊が盛大に転んだのを私は見た。 フランシスは意味が分からなかったみたいで頭上に沢山疑問符を浮かべていた。教える訳ないじゃん。 その後、半泣きになりながら逃走を図ったのでよくは知らないけれど フランシスは事情を知った菊にこっ酷く叱られたらしいとアーサーさんが 溜め息混じりに話してくれた。でもこの人も他人の事言えた義理じゃないんじゃないかなぁ、なんて 思ったけど可哀想だから言わないでおく。私ってやさしい。 女喜丹とかは気になったお嬢様だけ検索してみて下さい… |