「おーい、聞いてんのかーぁ?」
「ぅん…聞いてましゅ…」
「起きてくださぁーい」
分かったよ起きるよチクショー荒瀬め…って
「近いよ!」
「はい起きたー」
机に突っ伏して惰眠を貪っていた私を覗き込むようにして視界に現れた荒瀬先生。
真っ黒で大きな瞳に映る私の姿がはっきりと確認出来る程に近い。
先生が動く度に色素なんて皆無な金髪がサラサラと揺れる。
全く塾長もよくこんな奴採用したな。
こいつは基本的にスーツを着ない。
「塾講師です」と言われない限り只のニートにしか見えないような外見のくせに
有り得ないくらい頭が良いんだ、この人は。
「ねーねー気付かないの?」
「え?」
「みんな帰っちゃったよ」
その一言によって一気に…それは恐ろしいスピードで現実に引き戻された私は
慌てて周りを見渡すが、先生の言う通り誰もいない。
講義室には私と荒瀬先生しかいなかった。
真っ白な蛍光灯の明かりが目に痛い。
「なんでもっと早く起こしてくれなかったんですか!」
「一番前のど真ん中の席で居眠り決め込んどいて文句とは良い度胸だなぁ?」
口喧嘩すれば負かされるのは当然私で
毎度の如く恨めしそうに先生を見つめるしかできない。
押し黙った私を見て、荒瀬先生は更に追い討ちをかける。
「そうだ。この前やった数学のテスト、ちゃん点数ひっどいよ」
「うそ?!」
「ほんとぉー」
絶叫する私の姿はそんなに面白いのだろうか。
先生はとても楽しそうだ。
「ね、このまま補習授業しよっか!」
「え!?」
「大丈夫だよぉ、送ってってあげるー」
時計の針と睨めっこをしている私に一言。
「なんかジュース奢ってやるよ」
「先生大好き!やります!」
「安っ!」
「ジュース奢ってくれたのが荒瀬先生じゃなかったら残ってませんよ」
「…え」
さっ、始めましょうか!先生!
Are you ready?
08.4/1 なんか色気の無い2人だ…。